製品情報トップ > はんだ付けを学ぼう > ヒカル君のはんだ付け奮闘記 > 第10話 「はんだこて フォーエバー」
全ての電子部品がリフローやフローではんだ付けできるわけではないんじゃよ。
といいますと?
例えばじゃな、リフローの場合、全体を加熱するわけじゃから部品の温度も当然高くなってしまうわな。フローでも場合によっては、部品に溶けたはんだが当たるわけじゃから同じように部品の温度が高くなってしまうことがある。耐熱性の低い部品はこれらの方法では実装することができんのじゃよ。
そういう場合は、はんだこてではんだ付けするわけですね。
そうじゃ。リフローやフローが終った後に、はんだ付けするんじゃよ。
それ以外にも、背の高い部品や、その他何らかの理由でリフローやフローはんだ付けができない物は、後ではんだ付けするんじゃよ。
なるほどー。
しかしじゃ、こういった問題は、部品メーカーの努力や基板設計時の工夫によって少なくはなってきておる。
その他で、はんだこてを使うといえば、やはり基板の修正じゃな。リフローやフローで実装した時に、例えばブリッジが発生したとすれば、はんだこてでブリッジを修正してやらねばならん。ブリッジ一つで基板を捨てるわけにはいかんからな。
基板に実装した部品が不良だった場合には、この部品を外して、新しい部品をもう一度実装してやらねばならん。技術がどんどん進歩していっても、不良を全く無くすのは難しいんじゃよ。
そうなんですか、それじゃまだまだはんだこての出番はありそうですね。
ただし、はんだこてに要求されるスペックはどんどん厳しくなってきておるし、今後も厳しくなっていくじゃろう。
どうしてですか?
ヒカル君、君は携帯電話を持っておるかね?
持ってますよ。
昔に比べて、随分小さくなったじゃろう?どうしてこんなに小さくなったと思う?
そうですねー、部品が小さくなって、基板も小さくなって、部品と部品の隙間も小さくなって・・・ あ!そうなるとこて先は当然小さくないとダメですね。
その通りじゃ。しかしこて先が小さくなると、こて先に蓄えられる熱量は少なくなってしまうから、はんだ付けした時に急激にこて先温度が下がってしまうんじゃ。基板自体も多層化しておるから、なおさらじゃな。こて先温度は、はんだ付けしても下がらないのが理想じゃが、実際にはそういうわけにはいかん。じゃから、こて先温度が下がったことを瞬時に反応してこて先温度をもとに戻してやるといった、高速応答性、熱回復特性に優れたはんだこてが必要とされるんじゃ。
なんだか、難しそうですね。
それだけじゃないぞ。こて先の形状も多様化要求される。基板に実装されている部品の形状も多種多様じゃからな。
それじゃ、一つの基板を修正するにしてもたくさんのこて先が必要ですね。
そうじゃ。今後はFX-951のように高速応答性、熱回復特性に優れ、さらにこて先の交換が容易なものが求められていくじゃろう。
なるほど、はんだこてもどんどん進化しているんですね。 それはそうと、こんなリードの多い部品や、リードのない部品はどうやって外すんですか?
これはリードがないんじゃないわい。裏面についておるんじゃ。こういうのをBGAとかCSPというんじゃ。
リードの多い部品でも小さい物なら特殊なこて先を用いて外すことがあるが、FPやBGA・CSPはホットエアーを用いて外す方がいいな。
ホットエアー・・・日本語で言うと熱い空気ですか?
リフローと同じですね。
そうじゃな。ヒカル君、今日で新入社員研修は終わりじゃ。明日からは現場で頑張ってくれたまえ。
どうもありがとうございました。
はんだ付けって知れば知るほど奥が深いですね。今後ももっともっと勉強して鈴木さんと張り合えるぐらいに頑張ります。
楽しみにしておるよ。ところでヒカル君、はんだこてがつかわれる分野で一つ大事なことを忘れておるよ。
え、何ですか?
君のように、電子工作に興味のある人たちがいる限り、はんだこては無くならんよ。>
そうか、そうですよね、家にリフロー炉を置くわけにいきませんもんね。
そうじゃな。はっはっはっはっ
おしまい