製品情報トップ > はんだ付けを学ぼう > ヒカル君のはんだ付け奮闘記 > 第5話 「きっと楽しい!はんだ付け」の巻
こんにちはー。
やあ、いらっしゃい。あがってよ。
先輩、早速なんですけど、例の電子工作キットはどれですか?
ヒカル君、えらく張りきってるね。
当たり前ですよ。ほら、僕の自慢のDASH(ダッシュ)まで持ってきちゃいましたよ。
はんだこてなら僕のRED(レッド)が余ってたのに。
いえ、僕はこのDASHがいいんです。それよりも先輩早く。
ハイハイ、ちょっと待ってね。えーっとどこに置いたかな?確かこの辺に・・・あった。はい、これ。
これ何ですか?
サイコロ。
サイコロ?これがですか?
そうだよ。振ってやると、LEDがちょっとの間点滅して、ピタッと止まる。止まった所がサイコロの目になってるというわけ。音も出るんだよ。
何か難しそうですね。
こういう電子工作のキットはあらかじめ配線がプリントされていて、部品を差し込んではんだ付けするだけになっているから、組み立て自体は簡単だよ。
プリント基板
そうなんだ。じゃあ早速、僕の自慢のDASHで・・・と、その前に換気、換気。それから燃えやすいものはどけて、説明書に目を通す。
わかる?
うーん、難しいですね。
今は、わからなくってもいいよ。興味が出てきたら勉強すればいいよ。今日はとにかく作ってみよう。
そうですね。
工具を出すからちょっと待って。えーっと、ニッパ、ラジオペンチ、カッター、それから・・・はんだとこて台と。
先輩のうちにはなんでもそろってますね!
まぁね~。はい、これで準備完了。
さてと、まず何からはんだ付けしようかな。
ジャンパー線とか抵抗とかダイオードみたいに背の低いものからはんだ付けするといいよ。先に背の高いものをはんだ付けしちゃうと後がはんだ付けしにくくなっちゃうからね。
なるほど。いろいろコツがあるんですね。じゃあ、ジャンパー線からはんだ付けしようかな。
説明書にも書いてあったけど、ジャンパー線には、はんだ付けした後切り落とした抵抗とかコンデンサなんかの足の部分を使うんだ。だからまず抵抗をはんだ付けしてみようか。
わかりました。
最初にじゃあ、僕がやってみようか。まず、抵抗の足をラジオペンチで基板の穴にはまる長さに折り曲げる。(写真1)この基板の穴のことを「スルーホール」って言うんだよ。次に、折り曲げたリード線をスルーホールに差し込む。(写真2)抵抗はプラスとマイナスが決まっていないからどの方向に差し込んでも大丈夫。それから裏返して、スルーホールの近くでリード線を外側に折り曲げる。こうするとはんだ付けするときに部品が抜け落ちたりしないんだ。
写真1
写真2
部品のリード線を差し込む、基板上の穴のことを指す。
両面基板や多層基板で使用される、穴の内面を銅めっきしたものを特に指す場合がある。
本当ですね。
さて、ここからがヒカル君の自慢の「DASH」の出番だね。基板に金属(銅)が印刷されているよね。これが部品と部品をつなぐ配線になっているんだ。この印刷された配線のことを「パターン」というんだ。はんだ付けするときは、こて先をリード線とパターンの両方が温まるように当ててやる。両方がはんだが溶ける温度よりも少し高くなった頃にはんだを送ってやる。(写真3)このときはんだはこて先と反対方向から少しずつ送るといいよ。はんだ付けが終わったら、リード線の余計な部分をニッパで切り落としてでき上がり。(写真4)先に、リード線を切ってから、はんだ付けするやり方もあるけど、今回はこのやり方でやってみよう。どう、わかる?
写真3
写真4
なーんだ簡単じゃないですか。
後はヒカル君、やってごらん。
まかしてください。僕の華麗なテクニックを見せてあげましょう。 えーっと、まずはリード線をラジオペンチで折り曲げて・・・それから差し込んで折り曲げて・・・こて先をリード線とパターンに当ててはんだを送る。最後に要らない部分をニッパで切る。どうだ!
ヒカル君、あまりはんだ付けしたことが無いにしては上手だね。
バッチリ、イメージトレーニングしてきましたから。
イメージトレーニング?
そうですよ。上手にはんだ付けできるように。
ふーん、そうなんだ。
さあ、じゃんじゃんはんだ付けするぞ!ほいっ、よっ、とりゃあー!
鼻歌なんか歌っちゃたりして。ふふーん♪
よし、抵抗のはんだ付け終了。
次は「ダイオード」いってみようか。ダイオードは方向があるから気をつけてね。電気は矢印の方向にしか流れないんだ。このダイオードの場合、青線が書いているほうが矢印の先のほうに来るように取り付けるんだ。
こうですね。あとは同じように曲げて、挿して、また曲げてっと。こて先を当ててはんだを送る。最後に要らない部分を切る。簡単、簡単・・・
ダイオードのはんだ付け終了。次はジャンパー線・・・よし、おしまーい。
ブザーと電源コードも取り付けちゃおうか。
そうですね。あれっ?この線の先のほうにもうはんだがついてるぞ。調子に乗って知らない間につけちゃったのかな?
違うよ。こういうのを「予備はんだ」っていうんだ。リード線の先がばらばらにならないようにしてあるんだよ。そのほうがはんだ付けしやすいだろう。
写真5
そうなんですか。「予備はんだ」覚えておこうっと。
次はコンデンサのはんだ付けだね。こっちの薄いコンデンサは「セラミックコンデンサ」(写真6)といってプラス、マイナスの極性が無いからどっちの方向に取り付けても大丈夫だけど、この円柱状のコンデンサは「電解コンデンサ」(写真7)といってプラスの方向とマイナスの方向があるから気をつけてね。パッケージに“-(マイナス)”の表示があるからくれぐれも間違えないでね。
写真6
写真7
間違えるとどうなるんですか?
電圧が高いと、壊れちゃう。
き、気をつけます。えーっと、こっちが“-(マイナス)”だから・・・ふーっ、コンデンサのはんだ付けも無事終了。
さあ、どんどんはんだ付けしよう。つぎはLED。これは「発光ダイオード」といって電球みたいに光るんだ。ダイオードの一種だからもちろん方向があるよ。ほら、上に「A」と印刷されている方の穴があるだろ。こっちに、長いリード線が入ることになるんだよ。
部品によって、方向があったりなかったりして、面白いですねぇ! さあ次は、IC(写真8)ですね。
写真8
そうだね、あまり長い間こて先を当てすぎないように気をつけてね。
はーい。こて先を当てて、はんだを送る。こて先を当ててはんだを送る。
・・・よしっ、全部終了!!早速電池をつけましょう。
ちょっと待ってね。はんだ付けができているかどうか確認するから。
どれどれ・・・うーん駄目だね。?
えーどこがですか?
こことここははんだが少ないね。スルーホールが見えてるよ。(写真9)それからこのICのリード線、隣のリード線とブリッジしてる。(写真10)
写真9
写真10
本当だ。こんな場合どうすればいいんですか?
はんだが少ないところは、もう一度あたためて、はんだを足してやればいいよ。足し過ぎないようにネ。ブリッジしてるところははんだ吸取り線で吸取ろう。
なるほど。えーと、こことここにははんだを足して、それから、ブリッジしているところははんだ吸取り線を使ってはんだを取る・・・よし、できた。どうですか先輩?
写真12
写真11
いいね。じゃあ電池をつなげてみよう。
ありがとうございます。電池をつないで、少しゆすってみると・・・
ピロロロロロロロ♪
先輩、動きましたよ!
やったね、自分で作ったものが動くとすごくうれしいでしょ。
はい!いや~電子工作キットって楽しいですね。