製品情報トップ > はんだ付けを学ぼう > ヒカル君のはんだ付け奮闘記 > 第4話 「はんだこては何をする道具なの?」の巻
さあ、それじゃあ修理を始めようか。
まずはリード線のビニールをはがさないと(写真1)…それからえーっと…
写真1
モータの端子のはんだを吸い取らないとね。はんだ吸い取り線を端子に当ててその上からはんだこてで押さえる。(写真2)あまり、長い時間はんだこてを当てすぎるとモーターのプラスチックが溶けちゃうから気を気を付けてね。
写真2
緊張するなあ。こ、こうですね。
ヒカル君わりと器用だね。
そうですか?次に端子にリード線を巻き付けてと…(写真3)そしてはんだを付ける。(写真4)どうです?
写真3
写真4
うーん、ダメだね。
えっ!どこがですか?
こういうはんだ付けをイモ付けといって、悪いはんだ付けなんだ。(写真5)表面がザラザラしていてツヤが無いでしょ。
写真5
でも、付いてますよ。
確かに付いてるように見えるんだけど、このままだとまた取れてしまうよ。
そうなんですか?何がだめだったんだろう?
ヒカル君は、はんだ付けをする時にはんだこてではんだを溶かしてから付けたでしょう?(写真6)
写真6
ええ、だってはんだこてってはんだを溶かす道具でしょう?
はんだこては、くっつけたい金属をはんだが溶けて広がる温度まで暖めてやる道具なんだ。ヒカル君のやり方だと肝心のくっつけたい金属がちゃんと暖まっていないからはんだが広がっていないんだ。良いはんだ付けというのは、はんだが富士山のすそのの様になるんだよ。
そーなんですか。
ガラスが水に濡れて、ガラスの表面に水滴が広がるのと同じではんだも濡れて広がらないとだめなんだ。はんだ付けの善し悪しはこの濡れと拡がりで決まるんだ。
濡れて広がる…ですか。
そう。くっつけたい金属をあたためて、はんだを送る。そして濡れて広がってはんだがくっつけたい金属の中に吸い込まれていって、その金属の原子とはんだの原子とが結びつく。これがはんだ付けなんだ。
金属の中に金属がしみこむのですか?うそついてるでしょう?
金属といっても原子のレベルでみればいっぱい隙間があいてるんだよ。このスポンジみたいなものだね。このスポンジにはんだが吸い込まれていって金属同士がくっつくんだ。
なるほど、はんだ付けって奥が深いんですね。はんだを付けるんじゃなくてはんだをしみ込ませるんですね。先輩、お手本を見せてくださいよ。
いいよ、僕も実は言うほどうまくないんだけどね。まずリード線と端子を両方あたためて、それからはんだを送る。はんだを適当な量だけ送ったらはんだを離す。はんだが良く広がったところではんだこてを離す。どう?(写真7)
写真7
さっすがー!
作業が終わったら片づけよう。はんだこてを直す時は、こて先に付いたはんだをクリーニングスポンジできれいに拭き取ってからはんだをこて先に送っておくんだ。(写真8)こうするとこて先が、さびたりせずに長く使えるよ。(写真9)
写真8
写真9
へー
それから、はんだもはんだこても子供の手の届くところには置かないこと。片づけが終わったらきれいに手を洗うこと。はんだの中には鉛が入っていて、これは体に入ると良くないんだ。
誰でも使える工具だけど注意して使わないといけないって事ですね。何か僕、はんだ付けに興味がわいてきましたよ。
お兄ちゃん直った?
今直ったところだよ。走らせてみてよ。
いいよ。いくよ、ほら!
速いねー。
そうでしょ。おにいちゃんありがとう。
ヒカル君、今度うちに遊びにくるかい?面白い工作キットがあるんだけど。
ほんとですか!